
ウエストミンスター信仰告白
2025.11.7
豊川の家の教会 後藤愼二 長老訳
ウエストミンスター信仰告白は、
1646年、イギリスのウェストミンスターにおいて、
数百名の牧師・神学者たちが、聖書に基づき共同で編纂した「信仰の基準書」です。
これは単なる思想書ではなく、
「聖書が教える信仰の核心を、明確に、体系的に整理した教理の標準」です。
当時、教会には
-
伝統に頼る信仰
-
人間中心の教え
-
あいまいな救いの理解
が入り込み、信仰の土台が揺らいでいました。
そこで教会は、
「聖書そのものが何を語るのか」に立ち返り、
信仰を言葉によってはっきりと示す必要がありました。
その結果生まれたのが、
ウエストミンスター信仰告白です。
教会にとっての意義
意義 | 説明 |
|---|---|
1. 信仰の土台を確立する | 教会と信徒が、何を信じているのかを、言葉で明確に説明できるようにする。 |
2. 教えを守る基準となる | 説教・教育・勧めが、聖書から逸れないための指標となる。 |
3. 信徒を養い、成長させる | 信仰が「感じるもの」ではなく、理解し、確信するものへと形づくられる。 |
4. 教会を一つにする | 同じ福音の中心を共有することで、教会が同じ方向へ進むことができる。 |
信仰告白は、信仰を縛る鎖ではありません。それは、信仰を支える堅固な土台です。
ウェストミンスター信仰告白は、
「聖書が何を教えているのかを、正しく理解するための地図」です。
この信仰告白は、次の問いに答えます:
-
聖書とは何か
-
神とは誰か
-
人はなぜ滅びるのか
-
キリストは何を成し遂げられたのか
-
救いはどのように与えられるのか
-
教会とは何か
-
礼拝とは何か
-
死と裁き、終わりの時に何が起こるのか
これらを、まちがいなく、ぶれずに、明確に示します。
ウェストミンスター信仰告白の全体構造 ― “神から始まり神へ帰る”
ウェストミンスター信仰告白は 「救いの物語」 に沿って構成されている。
大枠 | 主題 | 神学的意味 |
|---|---|---|
① 神の側から始まる(1–6章) | 神は誰か / 何が真理か | 救いの基礎は神の側にある |
② キリストにおける救い(7–18章) | 契約 / キリスト / 義認 / 聖化 | 救いは神が成し遂げ、神が与える |
③ 救われた者の歩み(19–20章) | 律法 / 自由 | 救いの実は従順として現れる |
④ 教会と終末(21–33章) | 礼拝 / 教会 / 洗礼 / 主の晩餐 /最後の審判 | 神はご自身の民を集め、完成へ導く |
① 神の側から始まる(第1〜6章)
ここではまず 「救いの前提」 が示される。→ここで示されるメッセージは 「救いは人から始まらない」。
② キリストによる救いの適用(第7〜18章)
ここが 福音の中心部分。神は 契約 の枠組みで救いを実現する。→救いの源も、中心も、完成も、すべてキリスト。
③ 救われた者の生き方(19–20章)→神が救った人は、神を喜ぶようにつくられる。
④ 教会・礼拝・終末(21–33章)
ここは 「信仰が共同体と して形になる部分」。→ ゴールは「キリストのもとに帰ること」。
ウェストミンスター信仰告白は
神が救いを始め、成し遂げ、完成させるという福音の全体像である。
Title | 章 | 主題 | 神学的流れ、中心点、意味 |
|---|---|---|---|
1章 | 1 聖書 | 権威の源 | 信仰は感情ではなく啓示による |
2章 | 2 神 | 三位一体 | 神は絶対・永遠・完全 |
3章 | 3 予定 | 救いの計画 | 救いの主導権は 神にある |
4章 | 4 創造 | 世界と人間の目的 | 人は神の栄光のために造られた |
5章 | 5 摂理 | 神の支配 | 神は全てを導き、無意味なことは無い |
6章 | 6 堕落 | 人類の罪 | 人は自力で神に戻れない |
7章 | 7 契約 | 救いの枠組み | 神は人と関係を結ぶ方 |
8章 | 8 キリスト | 仲保者 | 救いは キリストの身代わりの贖い に基づく |
9章 | 9 意志 | 自由の回復 | キリストは心の支配を変える |
10章 | 10 効力ある召し | 心を開くのは神 | 再生は神が行う |
11章 | 11 義認 | 許しと受け入れ | 義は外から注がれる(imputed) |
12章 | 12 子とされるこ と | 身分の回復 | 恐れから愛と確信へ |
13章 | 13 聖化 | 内側が造り変えられる | キリストに似せられる過程 |
14章 | 14 信仰 | 恵みによる信頼 | 信仰は心の働き、だが 起点は神の再生 |
15章 | 15 悔い改め | 方向転換 | 聖霊によって心が刺され、転換する |
16章 | 16 善行 | 聖化の実 | 善行は救いの「条件」ではなく「結果」 |
17章 | 17 堅忍 | 救いは失われない | 神は見捨てない |
18章 | 18 確信 | 心の平安 | 救いは確かに保たれる |
19章 | 19 律法 | 神の御心の道しるべ | 律法=救われた者の歩む「喜びの道」 |
20章 | 20 キリスト者の自由 | 神に従う喜び | 恐れ・義務ではなく 愛と感謝による従順 |
21章 | 21 礼拝 | 神を神として礼拝する | 神は「ふさわしい礼拝」を求める |
22章 | 22 正しい誓い・誓約 | 神の御名を扱う態度 | 神の御名は「軽く扱われてはならない」 |
23章 | 23 国家・統治とキリスト者 | クリスチャンは国家とどう関わるべきか | クリスチャンは国家に従うが、国家より高い主はキリストである |
24章 | 24 結婚と離婚 | 結婚は「神の前に誓われる契約」 | 結婚は神の前で誓われた盟約であり、その中心は「互いに助け合い、聖く歩むこと」である |
25章 | 25–26 教 会と交わり | 神の民は一つ | 教会は救いを分かち合う場 |
26章 | 25–26 教会と交わり | 神の民は一つ | 教会は救いを分かち合う場 |
27章 | 27–29 聖礼典 | 洗礼・主の晩餐 | 恵みを“見える形”で与える神の手段 |
28章 | 27–29 聖礼典 | 洗礼・主の晩餐 | 恵みを“見える形”で与える神の手段 |
29章 | 27–29 聖礼典 | 洗礼・主の晩餐 | 恵みを“見える形”で与える神の手段 |
30章 | 30 戒規 | 教会の清さ | 教会は真理を守る |
31章 | 32–33 終末と審判 | 救いの完成 | 神はすべてを正しく終わらせる |
32章 | 32–33 終末と審判 | 救いの完成 | 神はすべてを正しく終わらせる |
33章 | 32–33 終末と審判 | 救いの完成 | 神はすべてを正しく終わらせる |